院長の窓（コラム）

ここでは皆さん方に理解を深めていただけるよう、「たとえ」話、そして進化の立場からの根拠も交え、身体の各部位には、それぞれつくりからみて理にかなった使い方があることを私なりに紹介していきたいと思います。

いずれも診療現場で私自身が皆さん方に説明している内容ですが、ほとんどは私の長年の経験に基づいたオリジナルであり、他の先生方がこだわってこなかったものとみていただいてよいでしょう。したがって、他を検索されてもまず同じ説明は得られないはずです。

メインテーマは「腰でも肩でも身体のどの部位でも、つくりに基づいた理にかなった優しい使い方」があり、またその逆もあり、同じ動作に見えはしても、積み重ねによって大きな違いを生じてしまうというものです。スポーツ動作も全く同様で、より正しい使い方によって、障害予防のみならず、パフォーマンスの向上にも通じてくれるものと私は考えています。

整形外科では、首から下の骨・関節・筋など多くの運動器疾患を扱っているのですが、外科医である以上、手術が必要かどうか、どんな手術法が最適なのか、がもっとも重要なこだわりとなります。したがって常に手術スキルの向上が求められます。

私自身も「腕のたつ整形外科医」を目指し、もがいていた時期もありました。そして1992年から14年間、約250床程度の救急病院の整形外科部長も勤め、たくさんの手術治療をおこない、研鑽に努めてきました。しかし、実際の治療現場では、「経過観察、時間薬、あとはリハビリ、自然治癒」といった経過をたどる症例も多く、保存治療はさほど重要視されていなかったとみてよいでしょう。

私は、あるきっかけがあり、本来の課題である手術スキルよりも、「身体には理想的な使い方の大原則があり、可能な限りそれを遵守することの方が重要」で、同時に治療にも障害予防にも通じていたと考えるようになりました。なぜそうなってしまったのか、については、長くなりますので後回しになりますが、別項で紹介したいと思います。

では、順に紹介していきましょう。文章だけでは難しいと思いますが、図表は随時追加していきたいと思います。